『娼姫レティシア』ゲームシナリオより抜粋




【レティシア】(もうすぐ私は、見ず知らずの男に抱かれるのね……。エストール王国の王女である私が、娼婦としてお金で買われる……)


そのことを意識するだけで、絶望的な気分に見舞われる。

【レティシア】(でも、相手は一体どんな男なのかしら? 女性をお金で買うくらいだから、きっととんでもない変態に決まってるわ……)

想像するだけでおぞましく、今すぐ部屋から逃げだしたくなる。

【レティシア】(ああッ、一体どうすればいいの! お願い、このまま誰も来ないで!)

そんな願いも空しく、しばらくするとドアがノックされた。

【レティシア】(来たッ!?)

【青年貴族】「入るよ」

【レティシア】(えっ!?)

扉を開け、部屋に入ってきた男を見て、レティシアは驚きに目を見開いた。

どれほど醜悪な中年男がやってくるのかと思っていたが、予想を裏切り、現れたのは二十歳前後であろう青年だった。

それも、爽やかささえ感じさせる美男子だったのである。

【レティシア】(嘘……この人が私の相手なの……)

青年貴族は、驚きのあまり硬直しているレティシアの前に立ち、好奇の視線で姫君を見やった。

【青年貴族】「へぇ、やっぱり近くで見るとびっくりするくらい綺麗だね」

【レティシア】「…………」

【青年貴族】「初めまして、レティシア姫。僕は――まぁ、名前なんてどうでもいいか。今日はどうぞよろしくね」

【レティシア】「あ、あなたが私の相手なの?」

【青年貴族】「そうだよ。僕が今日一晩、君を買ってあげたんだ。記念すべき初めてのお客さんだね」

【レティシア】「くッ……」

不快感に顔を歪ませるレティシア。見た目は好青年風だが中身は最低の部類の人間だと、一瞬にして悟った。

【青年貴族】「君はすごく高かったんだよ。なにせ現役のお姫様の初めての客になれる権利だからね。一晩で一億ガルドも払ったんだから」

【レティシア】「い、一億ッ!?」

レティシアは絶句した。五百万ガルドもあれば四人家族が一年暮らして行けるのだから無理もない。

【青年貴族】「まぁ、その分たっぷり楽しませてもらうつもりだけど」

あっさりと言った青年貴族は、ひときわ楽しげな笑みを浮かべた。

【青年貴族】「――それにしても、君も大変だよね。つい昨日までは王女だったのに、娼館で客を取らされる羽目になるなんて。まさに『人生、一寸先は闇』って感じ?」

【レティシア】「くッ……」

【青年貴族】「実は僕、パーティーで君を見たことがあるんだよね。かなり距離が離れてたから、君は覚えていないだろうけど」

【レティシア】「う、嘘……」

【青年貴族】「ホントだって。遠くから見てもすごく綺麗で、できることなら犯しまくって、そのかわいい顔を精液でドロドロにしてやりたいって思ったのを覚えてるよ」

【レティシア】「なっ!?」

【青年貴族】「そのときはそんなこと絶対無理だと思ってたけど、まさか本当にできる日がくるとはね。ガザエル様々って感じかな、はは」

嬉しげに笑う青年を見て、レティシアは激昂した。

【レティシア】「な、なんて汚らわしい! 無礼者ッ! 恥を知りなさい!」

【青年貴族】「汚らわしいなんてひどいなぁ。まぁ、僕の一番の趣味って娼婦を買うことだから、そう言われても仕方ないけど」

【青年貴族】「普通の女の子には全然興味が湧かないんだよね。やっぱ女の子は買わないと。最初のうちは嫌々やらされてる感がそそるし、慣れてきてからはエロくて最高だから」

【レティシア】「くッ……あなたは人間の屑だわ。豚にも劣る下劣なゴミよ」

【青年貴族】「ははっ、でも君はその屑に買われたんだよ? エストール王国の誇り高き姫君は、愛する男じゃなく、売春好きの最低男に抱かれるんだ」

【レティシア】「うッ……」

【レティシア】(なんてことなの! こんな屑に抱かれなきゃならないなんて!)

あまりの屈辱に奥歯を噛みしめ耐えるレティシア。その様子を見て、青年貴族はいっそう表情を綻ばせる。

【青年貴族】「ふふ、怒った顔もいいけど、悲しそうな顔も実にいいね。こりゃいじめがいがありそうだ」

【レティシア】(この男、殺せるものなら今すぐ殺してやりたいわ……。ガザエルからこの国を取り戻したら、かならず処刑してやる!)

【青年貴族】「さて、話ばっかりしてても仕方ないし、そろそろベッドにいこうか。君はまだ娼婦としては半人前だから、僕が色々と教えてあげるよ……手取り足取り、ね」