【愛美】(……え?)
男はにやついていた。こちらに身を乗り出し、じろじろと観察している。
【愛美】(ま、まさか……)
そんなわけない。周りに見えているのだ。
まさか、そんなはずはない。そんな思いもむなしく、男の足は徐々に侵入を深めてくる。
【愛美】(や、やだ……ほんとに、痴漢なんだ)
阻止するためには足を閉じるしかない。
だが、人の足を自分のふとももで挟むなんて恥かしかった。
かといって、このまま侵入を許すのも怖い。 締めつける力も中途半端になってしまう。
【痴漢】「ソフトな加減がいい感じだぜ?」
ささやかれる。
耳に息を吹きかけられ、背筋にあの嫌な寒気が駆け巡る。
* * *
【愛美】(ああ、どうしよう、どうしよう……)
緊張と恐怖で慌てていると、さらに信じられないことが起こる。
制服がたくし上げられたのだ。
【愛美】「え?」
あまりのことに、つい素っ頓狂な声をあげる。
ブラジャーが露になっている。
【愛美】「やあっ!」
人に見られてしまう。すぐに服を戻そうとするが、それを痴漢の手が拒む。
それどころか、下着の上から胸を揉み始めた。
【愛美】(やだぁ、やだぁ……!)
涙が滲みはじめる。無駄に大きく育ってしまった胸を呪ってしまう。
こんなに大きくなければ、痴漢も目をつけなかっただろうに。
【愛美】(なんで、なんでこんな風に痴漢できちゃうの……)
その手際も大胆すぎる。すぐに他の人に見つかってしまうはずだ。
ちらちらと周りを見る。しかし前と同じように、周りは気にしていないようだった。
【愛美】(なんで? なんで??)
見られてないという安心感を感じつつも、その異常な状態に恐怖心が大きくなる。
その恐怖心をさらに膨らませるものが目の前に現れる。
痴漢がズボンのチャックを下ろし、はちきれそうなほど大きくなった性器を露にしたのだ。
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