魔王と踊れ!シリーズを未プレイの方のために、今までのストーリーがよくわかるダイジェストをご用意しました!
『魔王と踊れ! CODE:ARCANA(コード:アルカナ)』のプレイ前に、いままでのストーリーのおさらいとして是非ご覧ください。

※ネタバレ全開となりますので、『魔王と踊れ! 1』または『魔王と踊れ! 2』プレイ予定の方は、この頁をお読みにならないよう御注意ください



『魔王と踊れ! 1』 ダイジェスト



突然現れ、僅か半年で大陸の半分を我が物とした男。
真闇の剣(ザマ・コーシェク)という黒色の大剣を振るい、屈強な戦士達を一刀で数百人切り裂いたという最強最悪の闇の王。
その名も『アツィルト=イェツラー』という。
多くの民を恐怖で縛り、無抵抗な者でさえ残酷に殺して回った。
魔王アツィルトによる暗黒の時代が永遠に続くかと思われたが、大地母神プリティヴィを崇める聖教団によって魔王は打ち倒され、世界に平和が訪れた。
それから長い時が過ぎ、今になった。

 

大陸の西側を支配するカレイディアス王国。
その首都であるアドリアスは様々な種族で溢れかえっていた。

そんなアドリアスの一角にある鍛冶屋に一人の青年が居た。
優しい性格がにじみ出た顔。純朴な雰囲気が漂っている。
どこからどう見ても悪いことなんて一つもできそうにない優男だ。名を『ビナー』という。



そんな平々凡々な彼の目の前に、謎の美女『ウィッカ・アムリタ』が現れる。
魔王の眷属だというウィッカは告げた。
「お前は魔王『アツィルト=イェツラー』の転生体だ」と。



ウィッカはビナーが魔王であるという証拠を見せるため、ビナーの身体に触れる。
魔王の愛剣、『真闇の剣(ザマ・コーシェク)』を彼の身体から引き抜いた。
彼女がビナーの元に来たのは、敬愛する魔王を再び目覚めさせるためだった。
――だが、ウィッカによる復活の儀式は失敗に終わってしまう。
魔王封印の際、他の眷属たちに分散した魔王の力が原因だとウィッカは考える。
魔王を復活させるため、ウィッカとビナーは眷属を探す冒険へ出た。



旅の途中、魔物に襲われている女性を発見し、二人は彼女を助けた。
彼女の名前は『フィリア・セオリカス』。
彼女はかつて魔王を倒したとされるプリティヴィ聖教に所属するシスターだった。
フィリアはビナーのことを予言書にある伝説の救世主だと勘違いし、無理矢理ついてくることに。



三人は苦戦の末、最初の眷属を倒すことに成功する。
ビナーは魔王の力の一端を取り戻した。
その力は七つの大罪の内の一つ、『淫欲』。
こうしてビナーは眷属から力を取り戻す度に、かつて自分が持っていた『七つの大罪』を受け入れていくことになる。

ビナーは育ての親のドワーフから、ビナーの両親の形見だという宝珠を受け取る。
プリティヴィ聖教の聖母『ソフィス・アゾニア』の協力を得ながら、次々と眷属を探し出し、大罪という名の力を取り戻していく。
旅の中で、ウィッカはビナーに魔王との過去を語った。



魔王アツィルトは史実に残っているような悪逆非道な存在ではない。
敵に対しては容赦なく力を振るったが、一度配下になった者に対してはとても優しかった。
統治した街や村の者を傷つけることは一切ない。
――そんな魔王をウィッカは深く尊敬していた。
しかし、とある日、事態が一変する出来事が起こる。
当時のプリティヴィ聖教の聖母が魔王の城に攻め込み、アツィルトに奇怪な魔術をかけようとした。
その術から魔王を守るためにウィッカは自身が持つ最高位の大魔術を使用し、魔王の身と心を分散させ、封じたのだった。
だから、魔王を復活させることはウィッカにしか出来ない。



――しかし、旅が進めば進むほど、ウィッカの気持ちは強く揺れていた。
魔王アツィルトの復活を望んでいるにも関わらず、ビナーの意識が完全に消えてしまうかもしれないことを彼女は恐れていた。
共に過ごしていく中で、いつの間にかビナーの存在が彼女にとって、とても大切なものに変わっていたのだ。
ビナーは不安がるウィッカに精一杯伝える。
魔王の力を手に入れ、変わっていく自分の方が昔の自分より好きであることを。
もちろん、消えることを望んでいるわけではない。
でも、そのときになるまで消えるかどうかなんて誰にもわからない。
だから、今は自分についてきて欲しい。
これが切っ掛けで、ウィッカとビナーの仲はより親密なものへと変化していく。



ビナーたちは眷属捜しの最中、立ち寄った場所で『影の種族』という存在についての知識を得た。
それは以下のこと。
魔王アツィルトは『影の種族』と呼ばれる者の一人である。
人間の噂では不老の種族だと言われている。
世界が創造されてから、その数は減る一方で増えることはない。
不老以外の能力としては、人間の限界を超えた魔法力や驚異的な治癒能力、猫族のような軽業などがあげられる。
繁殖力がないという点を除いては、究極の種族だ。
彼ら『影の種族』の本体は各々が持っている宝珠である。
そこに他の影の種族の力を吸収することで更に強くなることが可能。
産まれながらにして同族殺しの宿命を持っている。
そこでビナーは自分自身がどういう生き物であるかを初めて理解したのだった。

旅も終盤。
ほぼ全ての力を取り戻したとき、ビナーは一人の剣士に一瞬の隙を突かれ、宝珠に蓄積していた自らの力を奪われてしまう。
抵抗できなくなった彼は牢獄に閉じ込められる。



牢屋の外からやってきたのはプリティヴィ聖教の聖母、『ソフィス・アゾニア』だった。
今までソフィスがビナーの手助けしていたのは、魔王自らに力全てを集めさせ、その力を吸収し、大救済計画に利用しようと考えてのことだった。
大救済計画とは、呪いの歌を世界各地に響き渡らせ、人間達を七つの大罪――
淫欲、憤怒、怠惰、嫉妬、貪欲、大食、強欲――を全く持たない状態にし、永遠に幸せな夢を見せ続けるというもの。
その間、人間は眠ることも、食べることも忘れて、夢に浸り続ける。
彼らに待つのは衰弱死という悲惨な結末だ。
ソフィスはビナーに自分の過去の記憶を見せた。



それは遠い遠い過去の世界。
古代と言われる時代。
その中で『ソフィス』は一人歩き続けていた。
誰に作られたのか誰から産まれたことすらわからず、ただぼんやりと。
ソフィスも魔王と同じく影の種族の一人だった。
常にソフィスは神――としか言い様のないものの視線を感じていた。
神はソフィスに命じた。『生きろ』と。
親も子もなく、ただ、一人の個体として生き続けろ、と。
ある日、ソフィスは偶然、自分と同族に出会った。
姿形が人間でも、ソフィスには、はっきりとそいつが同族とわかった。
ソフィスは同じ境遇の者に出会えて喜んだが、次の瞬間には『同族を殺したい』という強い衝動がやってきた。
すぐに衝動は喜びを上回る。
結果、ソフィスはその者を殺し、力を我が物とした。



何千年か後に、ソフィスは同族のアツィルトと出会い、戦うことになる。
ソフィスは力及ばず負けてしまうが、アツィルトはソフィスの力と命を奪わなかった。
「殺しにはもう飽いた」
アツィルトはそう言うとソフィスを解放し、自分と一緒に生きるように命じた。



ほどなくしてアツィルトとソフィスはお互いに惹かれあい、愛し合うようになった。
二人は自分たちの子が欲しいと考えたが、影の種族は子を作ることができない。
そこで召使いとして雇っていた人間の夫婦を利用し、子を成そうと考える。
その策は上手くいき、アツィルトたちのブラッド・エレメンタルを引き継いだ子どもを作り出すことに成功した。
――しかし、その子は、産みの親である召使いたちに殺されてしまう。
「こいつは俺たちの子じゃない、化け物だ」と。



ソフィスは我が子の死に怒り狂った。
彼女は人類全てに罰を与えることを宣言するとアツィルトの元を去って行った。
ソフィスの大救済計画とは――人間全てに対する復讐だった。
過去を見せられた衝撃でビナーは魔王の記憶を完全に取り戻す。
ビナーと魔王の人格が統合され一つとなる。
その後、ウィッカとフィリアによりビナーは救出され、ソフィスの復讐劇を止めようと決意。
ソフィスの居る霊峰ルクレシアへと向かうのだった。



激戦の末、ビナーはソフィスに勝利する。
ソフィスにより奪われていた魔王の力が戻ってくる。
――これで準備は全て整った。
「お許しいただけるのでしたら、最後のおつとめをさせていただきます」
そう、ウィッカの目的はあくまで魔王アツィルトの完全復活なのだ。
ウィッカは最後の呪文を唱えた。
最後の眷属の一人として、魔王に力を返すために――。



「鍵守ウィッカ・アムリタの名において命ずる。
汝、魔王アツィルトよ、すべての軛(くびき)から解き放たれ、今こそ現世(うつしよ)に蘇らん! 
アッカ、ロスルート、ゴーキシェクル、ド、アツィルト=イエツラー!」
それはウィッカの魂と身体を捧げる最後の呪文だった。



ビナーはウィッカが消えていくことに気づく。
必死で止めようとするが、一度発動した術はもう止まらない。
ウィッカの身体が徐々に薄れていく。
――やがてビナーの思いも虚しく、ウィッカの身体は虚空へと消えてしまった。



数年後――
「なにを、ボケーッとしてるでチュ?」
ビナーの隣には小さな赤毛の女の子が居た。
彼女は、あのウィッカだ。
ウィッカの身体が消えた後、ビナーはウィッカの再構成にほぼ全ての力を注ぎ込んだ。
辛うじてウィッカを繋ぎ止めることに成功したが、ビナーからは魔王と名乗るほどの力が失われてしまった。
今、彼らは二人だけの盗賊団『ウィッカ&ビナー盗賊団』として大陸を荒らし回っている。
遺跡に眠っていたり、貴族たちが隠し持っている魔法の品物(アーティファクト)を根こそぎ奪っているのだ。
小さなウィッカと共に路地を走りながらビナーは思う。
こういう生き方も悪くはない。
――二人の冒険はまだまだ続いていく。







『魔王と踊れ! 2』 ダイジェスト



――大陸の西部を襲った『滅びの聖歌事件』から十年――。
大陸中央にある白髪山脈の中腹にリブファールという国があった。
大陸の東西を結ぶ公益の要として、昔から栄えてきた国である。



その国の城に『ソロン・アンジュー』という騎士が居た。
ソロンは、今は亡き前騎士団長『テルゼン・アンジュー』の息子であり、父と同じく王家に仕える騎士である。
ただ、真面目で優秀な父とは違い、ソロンは度々鍛錬を怠ることで有名だった。



ソロンには『マリー・グルノーブル』という幼馴染みの少女が居た。
マリーはリブファール王国の姫君である。
明朗快活な性格で、民からの人気も高い。
王族と騎士という間柄でありながら、マリーとソロンはまるで親友のように仲が良く、毎日を楽しく過ごしていた。



――そんなある日、東のブリッツシュタルト帝国から『プレーマ教』の教祖と信者がリブファール城に訪問してきた。
教祖の名は『ダリステス』。
逞しい肉体と口元を覆った髭、不遜な顔つき。
尋常ならざる雰囲気を全身から醸し出していた。
ダリステスはリブファールでの布教活動を認可してもらうためにやってきたという。
ユーリアは念入りに下調べし、帝国での評判も悪くないという理由で、プレーマ教の布教活動を認めた。



それから一ヶ月後、十年に一度の祭り『星祭り』が行われた。
星祭りはリブファールで昔から開かれているもので、通商の安全と国家の繁栄を願う祭りだ。
その祭りの中にはダリステスの姿もあった。様々な人が、祭りの空気に酔いしれている。



王妃ユーリアの祝詞が始まり、盛り上がりが最高潮に達した頃――
突如、女性の叫び声が広間に響いた。
プレーマ教団の信者たちが、民たちを斬りつけたのだ。
それも一人や二人ではない。



プレーマ教の信者全員が、毒の塗られた短剣で人々を斬りつけていく。
場は騒然となり、兵士たちとプレーマ教団による乱闘状態に陥る。
混乱に乗じ、ダリステスは王妃ユーリアを人質にとった。
一歩も動けなくなる騎士たち。
一方、母を人質にとられ激怒したマリーは我を忘れてダリステスに刃向かうが、返り討ちにあってしまう。
傷ついたマリーだけでもこの場から逃がさなければならない、とソロンは思い、マリーを連れ、城を脱出した。
祖国を助けるため、ソロンとマリーは他国に救援を求める旅に出たのだった。

道中では様々な出会いがあった。



大魔術師を目指すエルフ族のファータ。



トレジャー・ハントを生業としている少女、クリン。



西の塔に住まう魔女、ターシャ。



ターシャの使い魔、アセイミー。



トレジャー・ハンターのビナーとウィッカ。

ソロンたちはファータ、クリン、アセイミーの三人を仲間に加え、旅を進めていく。



救援を求め、大陸西部にあるアドリアス共和国を訪れるソロンたち。
アドリアス共和国でソロンたちの救援の訴えが議会にかけられることになる。
だが、議会の途中でリブファールから特使がやってくる。
特使は忠義に厚いことで有名なリブファールの騎士団長だった。
騎士団長は「ソロンこそが反乱を起こした逆賊であり、マリー姫を誘拐した犯人だ」と主張する。
彼がリブファールからの正式な使節であるため、議会は特使の主張を認め、審議は中止されてしまう。
姫誘拐の罪に問われ、ソロンたちはアドリアスから逃げ出すはめになってしまう。
どうして騎士団長がソロンを捕まえようとするのか。
ソロンたちは今、リブファールで何が起こっているのか確認しなければいけないと思い、リブファールを目指すことに。



リブファールへの道中、竜の道と呼ばれる洞窟の中で竜王テレンギーゼルと出会う。
竜王の卵をゴブリンたちから守りきり、竜王とソロン、そして幼竜グローリアスは強い絆で結ばれた。
様々な苦労の末、ソロンたちはリブファール王国に帰ってきた。



リブファールの街はまるで死んだように静かだった。
マリーの母である王妃ユーリアの指名により、ダリステスが摂政となっていた。
それからというもの、リブファールは大きく変わってしまった。
薬を入れられた井戸の水を飲んだ者は皆、性欲に忠実になり、あちこちで乱交状態になっている。
若い女は皆、城に集められ、毎日のように怪しげな宴が行われる。
本来、治安を護るための騎士たちは騎士団の詰め所に閉じ込められ、機能していない。
ソロンたちは現状を苦々しく思う。
ダリステスさえ倒せば全て元に戻ると信じ、ソロンたちはリブファール城に忍び込んだ。
しかし、ダリステス姿がどこにも見当たらない。
しばらく探し回っていると、マリーの母である王妃ユーリアの自室で、ユーリアがダリステスの名を呼びながら自慰に耽っているのを目撃してしまう。
ユーリアはダリステスの怪しげな術のせいで、淫らな女へと変貌していた。



マリーによる必死の呼びかけにより、ユーリアは辛うじて正気を取り戻す。
ユーリアから、ダリステスがブリッツシュタルト帝国の帝都へと向かったことを聞く。
彼女は、警備が手薄な今こそがダリステスを倒す絶好の機会であることをソロンたちに告げ、リブファール解放の願いを託す。
途中で兵士に乱入されたため、やむを得ずユーリアを置いて城から脱出。
リブファールをいち早く解放するため、ソロンたちはダリステスを追い、帝都へと向かうのだった。



苦労の末、帝都ヒンメンブルクに侵入に成功したソロンたち。
五人は、かつてソロンの父が学生時代に世話になった寄宿舎に潜伏することになる。
情報を集めダリステス襲撃に備えていると、ターシャが転移の魔術を使い、ソロンたちの目の前に現れる。



そこにトレジャー・ハンターのビナーとウィッカもやってくる。



ビナーの正体はかつて、世界を恐怖に陥れた『魔王アツィルト』だった。
アツィルトとターシャは『影の種族』と呼ばれる者であり、世界に22人しか存在しない種族の内の一人である。
人間の限界を超えた魔法力や驚異的な治癒能力などを持ち、繁殖力がない点を除いては、究極の種族とも言える。
それぞれが特別な力を持ち、それはアルカナに喩えて呼称される。
アツィルトは、『力』を司り、ターシャは『審判』を司っている。
影の種族は自分が産まれたときから持つ宝珠が命のようなもので、宝珠から力を奪われると死んでしまう。

ターシャから色々な話を聞いている内に、ターシャが昔の『ダリステス』を知っていることに気づく。
ターシャを問い詰めるが、彼女は<審判>故に歴史に関わることを口にすることはできないと答える。
だが、話す事は出来ないが見せることなら出来ると彼女は言う。
ソロンはターシャに頼み込み、過去の光景を見せてもらうことに。
ソロンの意識はターシャとソロンの協力で、過去へと飛ぶ。



辿りついた先は若き日のソロンの父、『テルゼン・アンジュー』の帝国軍士官学校の学生時代だった。
ソロンの父『テルゼン』。



マリーの父であり、今は亡き先王『アリュー』。



マリーの母『ユーリア』。



そして地方の商家から士官を目指しやってきた青年『プウペ』。
この四人は同じ寄宿舎で暮らしていた。
テルゼンやアリューは、軍士官学校で結果を出しているのに、プウペは全く上手くいかなかった。
元々の気弱な性格やひ弱な身体が原因で、学生からは馬鹿にされ、教官には常に怒鳴られていた。
プウペの精神は徐々にすり切れていく。
その中で唯一救いになったのは『ユーリア』の存在だった。
彼女は分け隔て無くプウペと接し、とても優しかった。
プウペはユーリアに恋し、格好良いところを見て欲しいと思うようになる。
そんなとき、偶然、ユーリアの持つ王家代々に伝わる黒真珠に隠されている地図の存在に皆が気づく。
これは宝の地図に違いないとアリューは考え、全員で地図の場所に行ってみることに。

 

辿りついた先で、プウペは一つの宝石を発見する。
それは、影の種族と呼ばれる強大な力をもった存在の遺物だった。
その遺物には影の種族の一人<世界>の力の一端が篭められていた。
何千年も昔、<世界>は力を持ちすぎた故に自滅した。
そのあまりに強大すぎる力ゆえに、<世界>の持つ宝珠の力は二つに分けられて封印されることになった。
それは伝承に、こう残されている。

「世界を分けし後、此を封ずる」
「其の地は、光をもって黒き珠に記す」
「其の身は、東の王が血によって封ず」
「其の魂は、西の女王が身をもって封ず」

プウペが手にした宝石は、伝承にある<世界>の<身>が封じられたものだった。

洞窟の奥で見つけた首飾りに、その宝石を取り付ける。
首飾りは封印が完全に解かれていないものの、大きな力を発揮する。
プウペは首飾りの持つ力に魅せられてしまう。
――この力が手に入れば、もう馬鹿にされることはない。
今まで、ずっと劣等感を苛まれていたプウペにとって、それはまさしく救いの手に見えた。
<世界>の力を全て手に入れ、自分を馬鹿にした全ての者を見返してやる。
プウペの指が、光を放つ首飾りをしっかりと掴む。
「ボクはもう、プウペなんかじゃない!」
「そんな名前、ボクにはもう必要ない!」
「ボクは、ボクを超える――そうボクの名前は」
「ダリステスだ!!!」
――こうしてダリステスが誕生した。


ソロンはそこで、ダリステスの目的をはっきりと理解する。
ダリステスの目的は――<世界>の力を全て解放することだと。
伝承の通りだとすると、<世界>の<身>を完全に封印から解放するために必要なのは『東の王』――ブリッツシュタルト帝国の皇帝『クロムカイゼル三世』の血である。
皇帝の身が危ないとソロンは現実世界に戻り、クロムカイゼルに謁見を望む。
だが、クロムカイゼルは既にダリステスと共に、プレーマ教の聖地へ向かっていた。
急いでソロンたちはダリステスを追う。



しかし、辿りついたときは既に遅く、クロムカイゼルが斬殺された後だった。
首飾りから<世界>の<身>が解放され、ダリステスは更に強大な力を手にし、ソロンたちに襲いかかってくる。
ソロンたちの必死の抗戦でダリステスを一旦退けるも、不意を突かれ、マリーを拉致されてしまう。
悔しさを噛み締めつつ、ソロンはマリーを取り戻すため、リブファールを目指す。



リブファールに向かう道中、エルフ族の里で竜王と再会する。
<世界>の完全復活を危惧した竜王は、様々な種族に呼びかけ、<世界>に対する連合軍を作りあげようとしていた。
ソロンは竜王に手を貸し、様々な種族に声をかけることに。
だが、ソロンには空を飛ぶ翼がない。
声をかけるにしても長く時間がかかってしまう。
そんなとき、見事な真竜に成長したグローリアスがソロンの目の前に降り立った。
ソロンは竜騎士として、人間たちに呼びかける役目を任される。
竜騎士の称号は、神に対峙しても揺るがぬ信念と、種族を超えてすべてのものを守る心を持つ人間にのみ与えられる名誉あるものである。



竜騎士となる儀式として、ソロンは真竜グローリアスへ誓いの言葉を言い放った。
「我、ソロン・アンジューは、この命が尽きる時まで、我が友グローリアスと共に生き、共に戦うことを、ここに誓う! 世界を間違った方向へと変えようとしている者を倒し、この世界をより良き方向へと導くために!」
こうしてソロンは竜騎士となり、グローリアスに跨がり飛び立った。
竜騎士ソロンと竜王の呼びかけにより、各種族の代表が一ヶ所に集う。
こうして、竜王の元、連合軍が結成された。



<世界>に対し、様々な種族の混成部隊が進撃を開始した。
ソロンたちはグローリアスに跨がり、リブファール城を強襲する。
多くの敵を倒し、何とかマリーの救出に成功する。
次にユーリアを救うため、城内を探して回る。



玉座の間に、ユーリアとダリステスが居た。
ダリステスに再び挑むが、戦いの中、ユーリアがマリーを庇い、死亡してしまう。



そのとき、事切れたユーリアから激しい光が放たれ、輝く玉が現れた。
それこそが<世界>の<魂>が封じられた宝珠だった。
ダリステスがユーリアの側でずっと探していたものだ。
王妃の身体の中からダリステスが宝珠を取り出す。
「まさか、こんな近くにあったとはな……」



ダリステスが宝珠を握りしめ、完全体へと変化していく。
<世界>の力を全て取り戻したダリステスに、ソロンたちは手も足も出ない。
ついには<世界>の力の影響でリブファール城が、おぞましい姿へと変貌してしまう。
ユーリアや他の多くの仲間を助けられなかったことのソロンは悔しさを感じる。
それでも、散った仲間のためにも前を向いていかなければならない。
そうソロンは自らに言い聞かせ、リブファール城を後にした。



後日、プリティヴィ聖教の聖母『フィリア・セオリカス』が連合軍の議長に任命され、<世界>を倒すための策が練られることになる。
まだ<世界>の力はダリステスに馴染みきっていない。倒せるのは今しかない。
現在、リブファール城の周りはダリステスが作り出した<怪物兵>が多数いて、とても近づけない状況である。
<怪物兵>は一体につき、戦士百人相当の力を持っている。
今、ある戦力では心許ない。
そこで駆けつけてきた魔王アツィルトとウィッカ。
アツィルトは<怪物兵>の陽動を引き受ける。
他種族の戦士もそれぞれの役回りを決め、配置につく。
――こうして最後の戦いが始まった。



アツィルトたちの助力で、ソロンたちはなんとか城内への侵入に成功する。
城の内部は<世界>の力により、完全に変わりきっていた。
部屋の配置、城内の構造まで何から何まで違う。



ソロンたちは多数の<怪物兵>を倒し、やっとの思いで玉座の間に辿りつく。
異形の姿をしたダリステスが待ち構えていた。
城の出口は既に<世界>の力により塞がれてしまっている。
後戻りできない最後の決戦。
――死力を尽くして、ダリステスと渡り合う。
しかし、ダリステスが<世界>の力に馴染んでいけばいくほど、ダリステスの存在は因果律から離れていく。
物理攻撃も魔法攻撃も効かなく、打つ手がなくなったときターシャがソロンの頭の中に語りかけてくる。
自分は<審判>のアルカナを司る存在であり、直接の介入はできない。
だが、一度ダリステスの過去を見てきたソロンなら、運命の特異点を見つけ出し現実を変えることが出来る、と。
「ソロン、過去の因果を断ち切るんだ」
ターシャは力を振り絞り、ソロンを過去へと跳躍させる。



ソロンは過去を振り返り、特異点を必死に探す。
だが、ソロンはどこにも特異点はないと感じる。
――外からの介入で変えるのではなく、ダリステス自身が変わらなければ意味がない。
そうしなければ、きっと何度でも同じ悲劇が繰り返される。
そのことに気づき、ソロンは再び現代のリブファール城に戻る。
ソロンはダリステスの身体に剣を突き立て、傷口から溢れる力を利用し、もう一度、過去へと飛ぶ。



辿りついたのは、首飾りが封じられていた洞窟の中。
そこでは、まさにプウペが首飾りに手を伸ばそうとしている瞬間だった。
ソロンはプウペの前で実体化し、姿を現す。
驚くプウペにソロンは説明する。
自分がテルゼン・アンジューの息子であること。
今、自分たちはダリステスとなったプウペにより、苦境に立たされていること。
願いが叶ったと喜ぶプウペに、化け物と化した自身の姿を突きつける。
そしてプウペが王妃となったユーリアを殺したことを告げる。
プウペの表情が明らかに狼狽えたものに変わった。
ソロンは懸命に言葉を紡ぐ。
「自分という存在を認めて、今の自分に出来ることを精一杯やるんだ、プウペ!」
「ただ変わることだけを望んで、ルールを変えようとするのは、何よりおまえ自身を否定することなんだ」
「みんな、辛かったこと、楽しかったこと、全ての歴史をなげうってでも、もう一度、おまえと共に生きようとしている」
「こんな闇に閉ざされた未来しかない暗い世界ではなく、光ある世界に向かって、皆で揃って足を進めようとしている!」
「皆、おまえと共に歩むことを望んでいるんだ、プウペ」
ソロンの熱のこもった説得でプウペはようやく理解した。



「ボクは、みんなに嫌われているわけじゃなかった。ボクがボク自身を嫌っていただけなんだ」
――そして彼は首飾りに背を向け、未来を選んだ。

過去を変えたことで今のダリステスの身体が崩壊し始める。
彼が首飾りを手にしてからの時間が崩壊する。
過去が変わったことにより、この世界の歴史がなかったことになったのだ。
世界は小さな波動に分解されていく。
ターシャは言う。
「 〈審判〉(ジャッジメント)としての役割を、果たす時だ」



<審判>のアルカナを司る影の種族『ターシャ』の仕事は世界の観測の他に、世界の分解と再構成も含まれていた。
この世界にあるいくつもの可能性を繋ぎ合わせて、新たな歴史を紡いでいく。
すべてがターシャの希望通りに組み上がるワケじゃない。時には予想外の結果にも突き当たる。
そうして完成する世界が正しいのか、間違ったことなのか、それは誰にもわからない。
ターシャは手を止めることなく、世界の本質にそって、自らの仕事を果たしていく。
そして――再び世界は構成された。



――ソロンは自室のベッドの上で目を覚ました。
ダリステスとの戦いがまるで嘘のように街は平和だった。
荒らされた跡など、どこにもない。
時は星祭りの前日まで、巻き戻されていた。
ソロンは自分の見ていた世界が夢なんじゃないかと疑う。
マリーと会って確かめようとする。



王妃ユーリアが亡くなり、新しく王妃となったマリーの姿があった。
マリーも前世界の記憶を持っていた。
クリン、ファータ、アセイミーも二人の元を訪れ、再会を喜び合う。
全員、前世界の記憶を持っている。
話をしていく内に、この世界と以前の世界とでは歴史がいくつか違っていることに気づいた。
ユーリアがダリステスに殺されたのではなく、病死したことになっていたり、他にも死んだはずの者が生きていたりなど。
それはターシャが世界を再構築した結果だった。
ただ、ターシャが好き勝手に世界を構成したわけではなく、公平中立に作り上げたのがこの世界であり、ターシャに責任はない。
マリーは、もうユーリアと会えないことを悲しく思うが、凛として前を見据える。
「この世界は、生きている者たちのためにあると、わたしは思うの。哀しみは停滞しか生み出さない」
マリーは前に進もうとしている。
(マリーが国を背負うと決めたこの時、俺に、いったい何が出来るだろう?)
ソロンは思う。
竜騎士となって世界を救うよりも、大切なことがある。
どんなに力があっても、どんなに戦いに強くても、出来ないことがある。
ずっと、マリーの傍に居る。
リブファールを護るため、共に肩を並べて戦ってゆく。
それが自分のできること。



「マリー、俺が傍にいる。ずっと君を護り続ける」
「千万の矢が君を狙っているなら、俺は君を護る盾になる」
「千尋の谷が君の行く手を阻むなら、竜を駈り、飛び越えよう」
「それは、俺がマリーのことを愛しているから。ずっと愛し続けるから」
「マリー、俺と結婚してくれ」
マリーは嬉し涙を流し、そのプロポーズを受け入れる。
「嬉しい……。わたしも、ソロンのこと愛してる。ずっと前から愛してたの」



――数ヶ月後、星祭りの夜。
マリーが祭祀となり、行われる初めての星祭り。
ソロンとマリーは城の一室で待機していた。
マリーの中には新しい命が宿っていた。
二人はこの子が生きる未来を精一杯守っていこうと誓う。
マリーとソロンがテラスに出る。



満天の星空が二人を迎えるのと同時に、万雷の拍手が鳴り渡り、天地を揺るがす大歓声が巻き起こった。
星々の数ほどの祝福の歓声が、二人に向かって惜しみなく投げかけられる。
これがソロンたちが手に入れたもの。長い旅路で導いた結果。
――でも、まだ旅は終わったわけじゃない。これからも旅は続いていく。
ここにはクリンが居る。ファータが居る。
同じ理想を胸に抱き、支えてくれる仲間たちがこんなにも傍に居る。
「だからきっと大丈夫だ」
「どこまでも行こう。この命の尽き果てる、その時まで」
「皆と一緒にどこまでも――」



――とある荒野。
<世界>の宝珠が地面に落ちていた。
このまま、風が吹き続ければその内、土の中に埋まってしまうだろう。
だが、その<世界>の宝珠の前で立ち止まる一つの人影。
その者の背中には――天使の翼が生えていた。

To be continued

『魔王と踊れ! CODE:ARCANA』に続く……





 

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